メディア・コミュニケーション研究、特にPRの研究をしてる院生2年生の立場でいろんなことを書いています。

2007-08-17 Fri 20:46
マスコミュニケーション理論の入門書
大学院に入る前からマスコミュニケーションの入門書
何冊か読んできたけれども、この本が一番いいと思う。
3780円、しかも上下二冊あるとのことで貧乏院生としては手が届きにくいけれども、
買うにせよ図書館で読むにせよ、お勧め。







マス・コミュニケーション理論 上―メディア・文化・社会 (1) マス・コミュニケーション理論 上―メディア・文化・社会 (1)
スタンリー J.バラン; デニス K.デイビス (2007/05/01)
新曜社
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様 々な理論の歴史的展開、理論の有効性と限界がわかりやすく示されており、ごく最近の研究まで紹介している。メディア研究の方向性、課題についてや、学生へ の研究者からのアドバイス、批判的な思考のためのクイズなども入っていて、とても面白い、読みやすい内容になっている。
各種主張の論点を明確に提示したり、多くの議論の課題、限界を丁寧に指摘している点で、他の教科書というか入門書に比べても優れていると思う。
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2007-04-30 Mon 17:26
ソフトパワー





Soft Power: The Means to Success in World Politics
Soft Power: The Means to Success in World Politics
Joseph S. Nye (2005/05/10)
Public Affairs

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ジョセフ・ナイ著『ソフトパワー

国際政治学に関心ある自分としては、
特に関心のある著作。
国際政治学の観点からソフトパワーを語ることと、
メディア・コミュニケーション論の観点から
ソフトパワーを語ることの違いは、
実証方法にあると言っていいのだろうか。
国際政治学は、コミュニケーションの効果研究に弱く、
メディア・コミュニケーション論は、政策分析に弱い。
アメリカだったら共著でいいものを書けるのでは。
もうすでにあるのだろうか?


1990年にナイが論文で提唱したソフトパワーが、
十分に理解されず、政策に反映されていないとして
記した一冊とのこと。

原著は150ページほどで短い。
米国を中心とした事例を並べ、簡単に分析するため、
ソフトパワーについてのイメージが具体的になる。
本文は短いけれども、関心のある部分については
25ページに及ぶ引用文献リストが活用できる。

日本についてはアジアのフロントランナーとして
少し言及されている。留学生10万人受け入れ政策などを
評価している。


政策と効果の因果関係については
世論調査の結果と政策を結び付けている点で
説明にムリがあるとはいえ、
概念の整理のために書いた著作としては
面白いのでは。


ソフトパワーの効果は複雑であり、
長期的視野に立って検討すべきであること、
ソフトパワーの目的である
一種の意見の形成、態度の形成は、
その効果が受け手に強く依存すること、
すなわち受け手の立場や年齢、所属集団の特徴に
依存することを指摘している点、
政府が文化産業や国際交流に積極的に関与すると
プロパガンダに対する警戒心を生み出してしまうこと、
マスメディアよりも個人レベルの、一対一の
コミュニケーションの方が影響力が強いことなど、
政策と効果の因果関係を単純化しておらず、
コミュニケーション論にも、直接言及することは
ないにせよ、理解を示していることは興味深い。


日本の国防政策の方向性を決めたとされる
アーミテージレポートの作成に
ナイが深く関与していたことを考えると、
日本の情報政策もまたナイの考える米国にとっての
ソフトパワーが機能する条件を整える方向へ進むよう、
設定されたということだろうか。
他国の情報政策に多大な影響を与えられるとしたら、
ソフトパワーの有効性を高めることも可能なのだろうか。
情報政策は氷山の一角という位置づけだとしても。

ともかく、
一定のイデオロギー上の枠組みに従って多様なコミュニケーションを展開することにより、色んな人に自国に対し好感を抱いてもらうという発想。
結構理想主義的な響きがあるため、具体化の作業が重要。ソフトパワー関連で様々な著作、論文が出てきていることからして、第二版が何年か後に期待できるのでは?
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2006-10-01 Sun 12:27
メディア・スクラム
メディアスクラム、いわゆる集団的加熱取材について。
拉致問題関係の報道を主に事例として取り上げ、
報道をめぐる様々な取り組みを解説する。
メディアスクラム―集団的過熱取材と報道の自由 メディアスクラム―集団的過熱取材と報道の自由
鶴岡 憲一 (2004/07)
花伝社
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集団的加熱取材に対する批判から、自主規制や法的規制によって調整が図られている取材方法。

その中でメディア企業や政府、市民団体がどう動いているのかを分析しているので、メディアスクラムについてどんなやりとりが行われているのかを多面的に理解する上で参考になります。

個人的には、メディア企業の方がメディアスクラムについても自主規制をしていると知って意外でした。自主規制しているといっても、状況は複雑のようですが。
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2006-09-30 Sat 16:42
アメリカはなぜヒトラーを必要としたのか
なぜアメリカが「孤立主義」をとって
欧州での戦争に加わることをいやがったのか、
なぜドイツが2度の大戦で2度凄まじい被害を
被ったのに2度とも他の欧州諸国と比較しても
急速な経済回復を実現しえたのか、

その他様々な疑問に当時の財界や政治家、
社会、国際関係など様々な方面から答えています。
日本の戦後の成長の背後にはアメリカの存在があったけれど、
ドイツ成長の背後にも アメリカの存在があった。
ドイツ発展の歴史を知る上で、興味深い一冊では。

ちなみに、第二次世界大戦における日本との関係についても
言及してます。イギリスの諜報機関とかが関わった
背景が解説されていて、小説に負けない面白さがあります。
アメリカはなぜヒトラーを必要としたのか アメリカはなぜヒトラーを必要としたのか
菅原 出 (2002/07)
草思社
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基本的には2度の世界大戦前後における、
アメリカドイツの関係について。
教科書に出てこない歴史の一幕を扱う。

戦争の準備に必要な技術協力、原材料調達に
おける国際関係、非協力的な同盟国を諜報機関
等使って参戦させる方法など、大戦時の
具体的な話が人名含め細かく解説されている。
近代の戦争の事例としても面白い気がします。

個人的には
世論を動かすプロパガンダ政策の一環で製作された映画が、
意外と大ヒットし、映画を見たゲッペルスを唸らせた
という下りが印象的でした…
公開され始めた911テロ関係の映画とかも、
親米意識を高めることが目的のように思える一方、
感動的ですよね…。蛇足。
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2006-09-29 Fri 00:31
「反日」とは何か
反日」とは、日本全体に反感を抱く人々と日本のメディアでは報道されるけれど、「『反日』活動家」として有名なメンバーへのインタビューを通して見えてくるのは、日本の右翼・軍国主義者に対する反感を抱く人々であるということ。
日本で報道される中国での「反日」活動と、実際の活動のギャップを活動家へのインタビューを通してあぶりだし、より現実に近い認識を広める、という意味では結構貴重な一冊では。







「反日」とは何か―中国人活動家は語る 「反日」とは何か―中国人活動家は語る
熊谷 伸一郎 (2006/08)
中央公論新社
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反日デモは、基本的に最近の日本の歴史修正主義ブームに対抗して発生したものらしい。南京大虐殺・従軍慰安婦系を否定する集会や、過去の戦争を正当化する靖国への参拝といった、右に大きく偏った行動に抗議するために必要に応じて実施されているとのこと。

反日教育により洗脳された若者たちのデモだとか、中国政府が国内問題から感心をそらすために利用しているといった発想は、少なからず事実に反しているおり、その論理を使うことがデモ活動家の声に耳を閉ざし事態の改善を妨げることにつながる、といった指摘はうなずける。

一番印象的なのは、反日活動家のデモ活動についてのコメント。
例えば、中国政府は反日デモを擁護・黙認しているどころか抑制していること。デモはそもそも許可制で、小規模に押さえることや、プラカードの内容を控えめな内容にしなければ実施できない。

日本の右派の動きがことの発端で、両国の間の対立・誤解が深まっている中、両国のマスメディアが相手の国の状況を正しく伝えようとしない状況は決して良くない、
というところを読んでいて、
安倍政権の誕生やここ数年成長の兆しが見えにくいメディアのことを考えると、「反日」運動関連の日中対立は基本的な構造を維持したまま深化するのみか…と、つい思ってしまう。アジア諸国との友好関係を築きますと首相は言うけれど…はたして。

何か、日本の政治家とメディアが反日デモの主な原因で、市民レベルで事態改善のため行動することは難しすぎます、という印象を残してしまうところが少し心残り。
でも日中友好を考える人にとっては必読。読みやすいし。
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